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したっぱ昆虫細胞研究者のメモ

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2009年 01月 15日

同じセルラインを違う培地で長期間飼うとどうなるのか

Lynn DE.
Lepidopteran cell lines after long-term culture in alternative media: comparison of growth rates and baculovirus replication.
In Vitro Cell Dev Biol Anim. 2006 May-Jun;42(5-6):149-52.

用いられたセルラインは3つ。(由来組織、樹立培地)
IPLB-LdFB(gypsy moth fat body,Goodwin's IPL-52B,76(3:1))
IPLB-LdEIta(gypsy moth embryos,上に同じ)
UFL-AG-286(velvethean caterpillar embryos,Grace's medium)

用いられた培地は2つ。
TC-100 (containing 9% fetal bovine serum)
Ex-cell 400 (serum free serum)

3つのセルラインはTC-100で12年、Ex-cell 400で3年(LdFB),12年(LdEIta),1.5年(AG-286)飼われています。
まずはそれぞれのセルラインのそれぞれの培地でのgrowthが測定されました。
結果、
LdFBではどちらの培地でも同程度の増殖、
LdEItaではTC-100で高い増殖、
AG-286ではEx-cell 400で高い増殖が得られました。

次にウィルス感受性が調べられました。
結果、
LdFBではEx-cell 400の方がよく感染しました。
LdEItaでは用いたウィルスの両方でTC-100でよく感染しました。
AG-286では用いたウィルスの片方では差がなく、もう一方ではTC-100でよく感染しました。

さらに、ウィルスの生産性が調べられました。
いずれの培養でも差が少なく、唯一AG-286を用いた実験の片方のウィルスでTC-100の方がsignificantに高い生産性を示しました。

著者は、細胞の高い増殖が得られる培地が、必ずしもウィルス生産にも適した培地とは限らない、と述べています。


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by koretoki | 2009-01-15 03:24


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