2009年 01月 07日
昆虫セルラインのうち、Spodoptera frugiperda由来のIPLB-SF-21-AEやそのクローンであるSf9、またTrichoplusia ni由来のHigh Fiveが、研究用もしくは商業用としてよく用いられています。 これら鱗翅目由来セルラインへの遺伝子導入方法はリン酸カルシウムをはじめ哺乳類で開発された様々な方法(参考:培養細胞への遺伝子導入法 (石川恵))や、NPVなどのvirusベクター用いる方法がありますが、いずれも毒性や導入効率などそれぞれに欠点があり、新しい方法が求められています。 今回著者らは新規遺伝子導入試薬、ポリエチレンイミン(製品名ExGen™ 500)の昆虫セルラインへの応用を検討しました。 Ogay ID, Lihoradova OA, Azimova ShS, Abdukarimov AA, Slack JM, Lynn DE. Transfection of insect cell lines using polyethylenimine. Cytotechnology. 2006 Jun;51(2):89-98. Epub 2006 Nov 2. 導入効率は、ExGen™ 500で導入したGFPがどれだけ光るかを、画像認識ソフトを用いて測定することで評価しています。 Sf9を用いた実験では、半数以上の細胞に導入され、9割ほどの細胞が生存しました。 やっぱり画像認識ソフトは使えるようにならないと、と思いつつ道具を見てみたら、たぶん手元にある・・・ そして、ExGen™ 500!! これの遺伝子導入機構はかっこいいです。 コスモバイオより ①ExGen™ 500と目的のDNAが安定で拡散性の高い複合体を形成します。 ↓ ②ExGen™ 500の“水素イオンスポンジ効果”が、大量の水素イオンの蓄積と受動的な塩化物イオンの流入を誘発し、エンドソームのpHを中和します。 ↓ ③浸透圧の膨潤がエンドソームの破裂を引き起こし、目的のDNAが核に移行します。 著者らは、イントロで カイコ由来セルラインBMNは1種のvirusベクターしか使えないが、Sf9は5種類以上のvirusベクターが使えるから凄い。 と述べているのですが、ExGen™ 500があれば解決されるのでは? 人気ブログランキングに参加しています。 応援よろしくお願いします。
by koretoki
| 2009-01-07 00:39
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