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したっぱ昆虫細胞研究者のメモ

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2008年 12月 20日

箱根の人面魚の肝臓もばっちり培養!!!

鯉の肝臓細胞初代培養法についての論文。
おさかな培養についてちょっと詳しくなれます。

魚類細胞系は毒性評価などに使われ、現在150ほどあります。
室温で飼えること、浸透圧に強いことが特徴として挙げられます。
また、L-15培地を用いる場合にはCO2インキュベータも要りません。

将来的に工学利用の面で、昆虫細胞のライバルになるかも知れませんね。

著者らは今回、コイの肝細胞初代培養の条件検討を行いました。
Yanhong F, Chenghua H, Guofang L, Haibin Z.
Optimization of the isolation and cultivation of Cyprinus carpio primary hepatocytes
Cytotechnology. 2008 Oct 18.

解剖して得た肝臓をバラバラにする方法として、機械的分離、コラーゲナーゼによる分離、パンクレアチンによる分離を試験しました。
また、培地はDMEM,M199,L-15をテストし、17℃,27℃,37℃の3段階の温度で培養しました。

培養状況のモニターはMTT法を用いて行いました。
以下MTT法解説(コスモバイオHPより転載)
>MTT〔3-(4, 5-Dimethyl thial-2-yl)-2, 5-Diphenyltetrazalium Bromide〕は淡黄色の基質で、生細胞のミトコンドリアにより開裂し(死細胞では開裂しない)、晴青色のホルマザン(Formazan)を生成します。このホルマザンの生成量は生細胞数と相関しています。

結果、パンクレアチン、L-15培地、27℃が最適条件であるとされました。




最近Cytotechnology誌がPubMedに引っかかるようになってうれしいです。
今回の論文は、種々の物質のアッセイに用いるための実験系開発のお話でした。
最近初代培養はもっぱら生理活性物質アッセイのために用いられることが多いようですが、初代培養自体が由来組織のアッセイに用いられることも多く、私はそっちの方が読んで楽しいです。
例えば昭和30年代日本で行われた研究では、脳腫瘍の初代培養からの細胞遊出の頻度が、腫瘍の悪性傾向と正相関するとか、なんかもう腫瘍細胞が愛らしくなってくるくらいたまらんですvvv

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by koretoki | 2008-12-20 02:25


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