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したっぱ昆虫細胞研究者のメモ

insectcell.exblog.jp
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2008年 11月 12日

成虫の中腸は幼虫の中腸幹細胞からできてる

著者は最近JHrecepterを見つけたパリー様

Parthasarathy R, Palli SR.
Proliferation and differentiation of intestinal stem cells during metamorphosis of the red flour beetle, Tribolium castaneum.
Dev Dyn. 2008 Apr;237(4):893-908.

PDFで取れるので美しい写真も是非ごらんください。
http://www3.interscience.wiley.com/cgi-bin/fulltext/117922529/PDFSTART

完全変態昆虫の成虫盤は、蠅の翅とか蛾の脚などではよく知られています。しかし、中腸の成虫盤についてはあまり知られていませんでした。
中腸には多核の細胞(筒型細胞、杯状細胞、分泌細胞の3種がいる)と2nの幹細胞がいて、中腸上皮が傷害をうけた時に幹細胞が分裂します。 変態に際して、中腸上皮の外の中腸成虫盤の細胞が増えて移動して来ると考えられてきました。
著者らは蚊と蛾で研究してきましたが、ゲノム情報がないことと初代培養が出来ないことが、幹細胞の研究の障害になっていました。
そこで
最近ゲノム解読がが完了したコクヌストモドキTribolium castaneumを材料に、中腸の初代培養とRNAiをやりました。

Knock-down effect of EcRA and USP on the proliferation of ISCs in the cultured midguts.Injections of dsRNA were done at 24hr AEFL.Twenty-four hours prior to harvesting,10µM 20E or JHⅢ or both are added.The tissues are pulsed with BrdU during the final 12 hr of culture.

結果、以下のことが分かりました。
●幼虫の中腸幹細胞が増えて、成虫の中腸を作っていた。
●20Eは中腸幹細胞の増殖を促進する。
●20Eは中腸多角細胞のアポトーシスを促進する。
●変態する中腸で、JHⅢは20Eに拮抗的に働くが、単独では何もしてない。
●EcRAとUSPが中腸リモデリングの際にシグナル伝達をしている。


データがもの凄く綺麗な印象を受けました。
中腸の初代培養を当然のように行っていることがとても恐ろしいです。
培養法としてLoeb式が有名ですが、国内でそれを出来る研究室を私は2つしか知りません。
リファにLoebさんの名前は見当たりませんし、さぞかし素晴らしい方法を開発されたのだと思いますが、マテメソには"The midguts dissected under aseptic conditions were cultured in Ex-Cell 420"としか書いてないのです。


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by koretoki | 2008-11-12 00:54


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