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2009年 04月 15日

新しいカイコ幼虫卵巣由来セルライン・・・?

Khurad AM, Zhang MJ, Deshmukh CG, Bahekar RS, Tiple AD, Zhang CX.
A new continuous cell line from larval ovaries of silkworm, Bombyx mori.
In Vitro Cell Dev Biol Anim. 2009 Apr 9.

タイトルを見てびっくりしました。カイコ幼虫卵巣由来セルラインの樹立??それって既に沢山ありますよね??
という訳で読んでみました。

 著者等は、卵巣をMGM-448基本培地+10%FBS+3%熱処理蚕血清で培養し、遊出した細胞を継代してセルラインを樹立しました。出来たセルラインはMGM-448とTNM-FHの2つの基本培地に適応したそうです。今回樹立した、DZNU-Bm-12のBmNPV感受性を見たところ、85-90%の細胞が3-17個の包埋体ウィルスを形成したそうです。




 カイコのセルラインのNPV感受性は、一般的に30-40%程度なので、85-90%と言うのは非常に高い数値です。たぶんここがこの論文の要点だと思います。著者は3年前にも"A new Bombyx mori larval ovarian cell line highly susceptible to nucleopolyhedrovirus."というタイトルで投稿をしていて、そちらの論文では“the cell line was found to be highly susceptible with 92-94% of the cells harbouring BmNPV and having an average of 20-23 OBs/infected cell.”ということになっていたのでそっちの方が良いんじゃないかとも一瞬思いました。でも倍化時間を見たら、古い方が42時間かかるのに対し、新しい方は24-36時間で倍化するというので、新しい方が便利ですかね?

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by koretoki | 2009-04-15 20:29
2009年 04月 14日

autophagyって何?:IPLB-LbFBセルラインを用いて

Malagoli D, Boraldi F, Annovi G, Quaglino D, Ottaviani E.
New insights into autophagic cell death in the gypsy moth Lymantria dispar: a proteomic approach.
Cell Tissue Res. 2009 Jan 30.

 autophagyは自食作用とも訳され、酵母も持ってる古い機構です。特異的に誘導される細胞死として、その起源についての議論は続いています。

細胞死には以下の
●apoptosis/programmed cell death
●autophagy cell death
●necrosis
3態があるとされ、apoptosisとautophagyの境は曖昧であることも言われています。autophagyの分子機構はここ10年で明らかになってきました。autophagyが、housekeepingのoverrunなのか、それともATP欠乏に連結した特異的な経路なのか、という問に対する答えはまだありません。

 鱗翅目幼虫脂肪体由来のセルラインであるIPLB-LdFBはautophagyとapoptosisの両方を様々な刺激によって誘導できるのでよい実験材料です。IPLB-LbFBはapoptosisのための機能を完全にもっていて、ATPase阻害剤であるOligomycin Aに誘導されてautophagyすることが知られています。

 著者等は、ATPase阻害剤であるオリゴマイシンAの添加によって細胞死の誘導された細胞の培養上清が、autophagyを誘導することを発見し、これを元に研究を行っています。脂肪体抽出物を用いた先行研究から、20Eなしでautophagyがおこること、すなわちなんらかの物質の存在が示唆されています。そこで、Oligomycin Aを添加した培養の培養上清についてプロテオミックに調べました。

●EMを用いた微細構造解析の結果、
Oligomycin Aを添加した培養の培養上清を添加することでautophagyしたIPLB-LbFBは、vacuolesをつくったり、ミトコンドリアを減らせたりすることが分かりました。

●脂質代謝に関わる酵素活性を調べた結果
酸ホスファターゼ活性が核の周りで淡く発現していたのが、はっきりと発現するベシクルが細胞質中に見られるように変化することがわかりました。

●ATPの量を調べた結果、
培養上清添加でATP減ること、oligomycinAの直接の添加でもっと減ることが明らかになりました。

●培養上清の蛋白を2次元展開して銀染、でてきた蛋白の11についてMS/MSで分析・同定した結果、
autophagyする培養では、アクチン脱重合factor4isoformがup-regulateされていました。対して、他のアイソフォームはdown-regulateされていました。
また、autophagyする培養のIDGF-like proteinは大きく減少することがわかりました。
コントロールと実験区培養上清にアクチンなどの細胞骨格蛋白が同じくらい含まれることも分かりました。
IPLB-LbFB細胞は、autophagic cell demiseに向かって代謝を変化させているようです。




 自食とapoptosisの違いがよく分からないのですが、どうも研究が始まったばかりということの様です。電顕と蛋白機器分析があると、なんとなく説得力がるような気がします。IDGF-like proteinが減少したところが面白いと思いました。栄養がなくて小さくなろうとしている細胞がgrowth factorを出さなくなるのは当然といえば当然なのですが。IPLB-LbFBはapoptosisの研究材料というイメージが強かったのですが、そこからさらに細胞死全体の研究材料に発展していったら嬉しいです。


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by koretoki | 2009-04-14 19:57
2009年 04月 08日

カスパーゼがApoptosis以外の方法でウィルスを邪魔する

Bryant B, Clem RJ.
Caspase inhibitor P35 is required for the production of robust baculovirus virions in Trichoplusia ni TN-368 cells.
J Gen Virol. 2009 Mar;90(Pt 3):654-61.

 バキュロウィルスはカスパーゼインヒビターP35で、宿主細胞のアポトーシスを止めることが知られています。核多角体ウィルスAcMNPVもそのひとつで、p35を欠いた変異体が存在します。変異型のウィルスはヨトウガ(S.f.)の細胞のアポトーシスを誘導してしまうのですが、T.niの細胞の場合ではカスパーゼが発現しているにも関わらずアポトーシスしないそうです。
 変異型のウィルス感染中は液化しないことや、変異型のウィルスはウィルス産生能が低いことなどの差異があるため、著者らはウィルス感染においてカスパーゼにはアポトーシス以外の働きあると考え、それがどのような働きであるか調べました。

 ウィルス産生に影響するのか、それともウィルス感染に関連するのか調べる為、カスパーゼインヒビターであるzVAD-fmkを感染細胞に加える実験と、zVAD-fmk存在下でウィルス感染させる実験を行いました。2つの結果から、カスパーゼは変異型ウィルスのバディングウィルスの感染を減少させることが分かりました。



 宿主体内細胞間での2次感染に関連する訳ですね。こういったウィルスの感染と産生に関する知識が集まってくれば、ベクター利用の際の条件検討もぐっと楽になるのかもしれません。あと、論文中でカスパーゼの活性のコントロールとして、Sf9に5分UVを被爆させたものが使われていました。それらのほうが、変異型ウィルスを感染させたT.niのセルラインTN-368よりもはるかにカスパーゼ活性が高いようにグラフでは見えます。ウィルスのアポトーシス誘導能って元々それ程高くないのですか?元々、というのもおかしいですが・・・メーカーサイトによるとクリーンベンチ等の殺菌灯は1分の照射でほぼ全ての、2分の照射で全ての菌を死滅させられるそうです。培地がUVを吸収するといっても、5分も当ててしまったらアポトーシスの誘導どころか原形質が破壊され、酵素群が漏れ出してしまったりするのではないかと心配になりました。

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by koretoki | 2009-04-08 03:20
2009年 04月 02日

昆虫の筋細胞でロボットを作ろう

だいぶ前から知っていたはずなのに、なぜか読んでいなかった論文
Akiyama Y, Iwabuchi K, Furukawa Y, Morishima K.
Culture of insect cells contracting spontaneously; research moving toward an environmentally robust hybrid robotic system.
J Biotechnol. 2008 Jan 20;133(2):261-6.

 近年メカニカルシステムやケミカルシステムにおいても、微細化の研究が盛んに行われています。メカニカルシステムについては、磁力や圧力を用いた技術を扱うデバイスを小さくしていくことによる"top-down"アプローチと、ミオシン-アクチン分子モーターのような小さなものから構築していく"bottom-up"アプローチがありますが、前者はデバイスの外部に大きなシステムが必要でエネルギー効率も良いとは言えず、後者は技術的に困難です。著者らはその中間のアプローチとして、筋肉細胞を用いたバイオアクチュエイターの開発を行いました。

 生物組織を用いたデバイスとしては、蚕の触覚を用いた高感度ガスセンサー、カエルを用いた水泳ロボット、心筋で構成したデバイスなどが過去に報告されていますが、生きた細胞だけで機械の構成成分をなすデバイスは未だ報告されていません。また、昆虫の筋細胞をデバイスとしての利用という視点から扱ったのは著者らが初めてで、昆虫細胞を使うメリットとして、温度感受性が低く、pHの変化にも慣用で、対応できる浸透圧の幅も非常に広いなど、閉鎖系での利用にも非常に適しているのが分かります。

 著者らはカイコとキクキンウワバの背脈管を用いて実験を行いました。供試虫を表面殺菌した後解剖して、背脈管を取り出します。それをMM培地、TC-100培地、IPL-41培地、グレース培地などに静置して自発的な収縮の有無を見ました。カイコではどの培地を用いた場合にも収縮を観察することはできませんでしたが、キクキンウワバの場合には、TC-100培地(10%FBS)を用いた実験で、18日以上も収縮を確認することができました。

 1週間以上の間、全くのエネルギー補給を必要とせずに動き続けられるデバイスとして、今後の応用が期待されます。また、グルコースなどの化学エネルギーを非常に効率よく運動エネルギーに変換することが出来るので、エネルギー問題の解決に役立つことも期待されています。



 論文の中で、大きな筋肉組織を作ろうとすると血管が無いために内部の細胞が死んでしまう、ということが書いてありましたが、トンボの大きな筋肉なんかを見ていると筋肉中に気管がたくさん走っているのが分かります。in vitroで血管を再現するのはなかなかに困難でしょうが、気管であればかなり実現可能ではないかと思いました。実際に大型細胞培養装置の中には、培養器中に中空のシリコンチューブを通すことで酸素をよく溶かす技術もありますしね。
 この話を私のボスが知ったとき、トレーいっぱいのカイコを持ってきて背脈管を培地の中で動かすように私に言いました。納期を聞くと、明日までということでした。早速ベンチに実体顕微鏡を持ち込んで作業をはじめたのですが、解剖しても背脈管が全く見当たらない。どうにもならないのでベンチでの作業を諦め、有菌条件下で元気なカイコを解剖してみると確かに脈打つ透明な組織がありました。どうも背脈管が無色である上にエタノール麻酔によって容易に止まるため、見つかりにくくなっていたのです。見えないけど確かにあるのだな、と気付いても見えないものは見えませんからなかなかうまくいきません。結局空が明るくなり始めたころトレーいっぱいのカイコはほとんどいなくなり、エタノールに浅く漬けて動いているうちに培養を完了させるという荒っぽいやり方で、動かすことができました。何が言いたいかというと、この研究はきっとすごく大変だったということです。


街中のエンジンが昆虫の筋肉に切り替わったら、きっとすごく静かで呼吸の楽な世界になるんだろうな。
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by koretoki | 2009-04-02 19:23
2009年 04月 02日

はわわゎ

北海道から帰って来たら大変なことになってました!

憧れのブログ、本家とある昆虫研究者のメモで私のブログが紹介されてる!!!

したっぱ昆虫細胞研究者のメモ

なんという・・・
なんともったいない・・・・

>g-hop様
ありがとうございますm(_ _)m

虫ブログ群の一員として自覚と誠意を持ってがんばりたいと思います!
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by koretoki | 2009-04-02 19:17