したっぱ昆虫細胞研究者のメモ

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2008年 12月 25日

狙った相同組み換え:イネ

正直よく分からないのですが
組み換え体とかほとんど意味が分からないのですが
相手が植物なのだからとあきらめて読みました。

■■■間違ってたら教えて下さい■■■

Yasuyo Johzuka-Hisatomi,Rie Terada and Shigeru lida
Efficient transfer of base changes from a vector to the rice genome by homologous recombination:involvement of heteroduplex formation and mismatch correction
Nucleic Acid Research,2008,1-9

例えば生物が酵素Aを発現しているが、代わりに酵素Bを発現してほしい時
酵素Aのコード領域をそっくりそのまま酵素Bのものに変えられたら素晴らしいと思います。
さまざまな非ペプチド性高分子の生産に役立つでしょう。

そして、上記のような「そっくりそのまま入れ替える」ような遺伝子組み換えのことをHomologous Recombination(HR)というそうです。
この技術は、単細胞生物や線虫で利用可能であったそうですが、植物では困難であるそうです。

e0160319_23591892.jpg

今回紹介する論文は、植物(イネ)でのHRに成功しています。
HRでは導入したい遺伝子の両端に対象となる遺伝子座の周囲と相同な塩基配列をつけることで、相同組み換えによる遺伝子のゲノムへの導入を狙います。
(上図参照)
1番上が、宿主植物の対象遺伝子座
2番目が、デザインしたT-DNA(含、導入遺伝子、ここではhpt)
3番目が、うまくいって組み変わった宿主植物の対象遺伝子座である。
相同組み換えが狙いなのだから、両端の相同配列部は一緒のものが良い。



私は勝手に思い込んでいたために、この論文のabstがしばらく理解できませんでした。
この論文のすごいのは
Base changes within the homologous segments in the vector could be efficiently transferred into the corresponding genomic sequences
という発見です。
相同部に"誤った"塩基が入ってHeteroduplexになった方がよいということです。
実際この論文では21個の点で塩基の間違いを導入しています。
斜め読みで間違ってたら申し訳ないのですが、Mismatch Correction、塩基配列の校閲機構がこの現象の原因となっているそうです。



単細胞の組み換え生物が世代を経るごとに組み替え遺伝子の頻度が下がる恐れがあるのに対し、接木で増やせる組み換え植物には圧倒的なアドバンテージがあるように思います。
たとえば、お茶をして、香気成分の代わりに医薬を作らせることができるようになれば、工場建設技術を持たない地域でも、薬をお茶から摂れるようになります。
たとえば、ジャスモン酸の代わりに、黄体ホルモンを葉に蓄積させるお茶が出来れば、人口問題の解決に確実に貢献できるはずです。

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by koretoki | 2008-12-25 23:55
2008年 12月 21日

Sf-9をなだめてすかしてP450生産

P450は様々な生物に広く存在する450nmに吸光ピークをもつ酸化酵素で、結晶化させて構造解析をするために大量の生産が必要とされています。
P450を生産する際、E.coliだとN末膜アンカードメインを調整して遺伝子導入しないと発現されません。例えば、hydrophobic部をbovineCYP17A1にする、とか、2番目のコドンをアラニンに変える必要があります。

昆虫細胞バキュロウィルスベクター系を用いれば、そういう必要がないので、虫・草・人のP450生産に使われています。しかし、全てのP450を生産することはできず、P420(P450にならなかった失敗作)しかできない場合もあります。

今回著者らは、バキュベクでうまく作れるPapilio polyxenes由来のCYP6B1と、うまく作れないPapilio multicaudatus由来CYP6B33を比較し、後者の欠点を改善することで、これまでバキュベクで作りにくかった種類のP450を生産するための方法を開発しました。
Mao W, Berenbaum MR, Schuler MA.
Modifications in the N-terminus of an insect cytochrome P450 enhance production of catalytically active protein in baculovirus-Sf9 cell expression systems
Insect Biochem Mol Biol. 2008 Jan;38(1):66-75.

CYP6BのN末端40ペプチド配列間の比較から、1-20のSAD配列と32番目のペプチドに狙いをつけます。
実際CYP6B33の1-20までをCYP6B1のものに入れ替えたキメラ配列と、32をAlaにした変異体をバキュベクでSf9に導入したところ、しっかりと生産するようになりました。また、生産物の活性を評価すると、V32Aの1ペプチド変異の方が高くなる結果が得られました。
シグナルアンカーと膜リンカーの効果の相互作用も考察されています。



遺伝子工学的手法をもちいて生物や細胞を生産の場にすることは、今や一般的な手法となっていますが、試薬同士の相性など、利用の妨げになって、「それはそういうもの」として避けて通ってしまいがちなところに、生物システムの本質が隠れているように思いました。

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by koretoki | 2008-12-21 02:01
2008年 12月 20日

箱根の人面魚の肝臓もばっちり培養!!!

鯉の肝臓細胞初代培養法についての論文。
おさかな培養についてちょっと詳しくなれます。

魚類細胞系は毒性評価などに使われ、現在150ほどあります。
室温で飼えること、浸透圧に強いことが特徴として挙げられます。
また、L-15培地を用いる場合にはCO2インキュベータも要りません。

将来的に工学利用の面で、昆虫細胞のライバルになるかも知れませんね。

著者らは今回、コイの肝細胞初代培養の条件検討を行いました。
Yanhong F, Chenghua H, Guofang L, Haibin Z.
Optimization of the isolation and cultivation of Cyprinus carpio primary hepatocytes
Cytotechnology. 2008 Oct 18.

解剖して得た肝臓をバラバラにする方法として、機械的分離、コラーゲナーゼによる分離、パンクレアチンによる分離を試験しました。
また、培地はDMEM,M199,L-15をテストし、17℃,27℃,37℃の3段階の温度で培養しました。

培養状況のモニターはMTT法を用いて行いました。
以下MTT法解説(コスモバイオHPより転載)
>MTT〔3-(4, 5-Dimethyl thial-2-yl)-2, 5-Diphenyltetrazalium Bromide〕は淡黄色の基質で、生細胞のミトコンドリアにより開裂し(死細胞では開裂しない)、晴青色のホルマザン(Formazan)を生成します。このホルマザンの生成量は生細胞数と相関しています。

結果、パンクレアチン、L-15培地、27℃が最適条件であるとされました。




最近Cytotechnology誌がPubMedに引っかかるようになってうれしいです。
今回の論文は、種々の物質のアッセイに用いるための実験系開発のお話でした。
最近初代培養はもっぱら生理活性物質アッセイのために用いられることが多いようですが、初代培養自体が由来組織のアッセイに用いられることも多く、私はそっちの方が読んで楽しいです。
例えば昭和30年代日本で行われた研究では、脳腫瘍の初代培養からの細胞遊出の頻度が、腫瘍の悪性傾向と正相関するとか、なんかもう腫瘍細胞が愛らしくなってくるくらいたまらんですvvv

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by koretoki | 2008-12-20 02:25
2008年 12月 18日

ロボットの鼻でコンタミ早期発見

Kreij K, Mandenius CF, Clemente JJ, Cunha AE, Monteiro SM, Carrondo MJ, Hesse F, de Los Molinas MM, Wagner R, Merten OW, Gény-Fiamma C, Leger W, Wiesinger-Mayr H, Müller D, Katinger H, Mårtensson P, Bachinger T, Mitrovics J.
On-line detection of microbial contaminations in animal cell reactor cultures using an electronic nose device.
Cytotechnology. 2005 Jun;48(1-3):41-58.

high-value biological productsを得る目的で細胞を大量に培養する際、中の状態を知るために溶存酸素濃度やpHをモニターすることが一般的でした。
しかし、コンタミネーションに関して上記の2つのモニタリングでは早期発見が不可能でありました。

今回用いられたElectronicNose(EN)は、多数の揮発性成分センサーで、バイオリアクター内の気層から培養の状況を把握する機械です。
コンタミネーションを速やかに検出できることが期待されていて、また、in-invasiveな方法でモニター出来る利点もあります。


試用には、rhM-CSFを作るためのCHO、VP2proteinを作るためのSf9の他、HEK、MLVの4つの細胞系が用意されました。

Sf9についての実験では、通常の培養、E.coli混入区、カビ混入区、バキュロウィルス導入区が用意され、ENのモニターによる培養経過の比較が行われました。

結果、E.coliはもちろん、溶存酸素濃度やpHでは見つけられないカビの混入も見つけられました(コンタミ開始後115時間かかるけど)。
バキュロウィルス導入区では、増殖中はコントロールと差異がなく、目的ペプチドが発現するようになって差異が出現しました。




モニターが出来てもコンタミを取り除く事は出来ませんが、ずっと新鮮培地を流し続けるような連続的培養であれば被害の拡大を止められそうです。
でもやっぱり除けないんだったら…
ちなみに、ENのセンサーは18種類あって、Acetic acid,Ammonium chloride,Lactate,Methionine,Acetone,Ethanolのそれぞれに3種類ずつあります。

余談ですが、大量培養の場合、メンテナンスなどの理由で金属容器が好まれます。
でもそんな光もないところに押し込められて、その上誰にも見てもらえないまま物を作り続けるなんてかわいそうだし愛が足りてないです。
そういう条件でずっと世代を重ねた細胞系は、そこに適応して可能性の少ないつまらない細胞系になっていく気がします。
もっとも、画一的細胞群の方が工学的に使いやすいのだけど。

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by koretoki | 2008-12-18 17:24
2008年 12月 15日

続・ハエのがん

ハエ(Drosophila)のがんのレビューです。
ハエのがんの研究から得られた知見が、どの程度ヒトのがんの解明や治療に役立つのか興味深いところです。

David Bilder
Epithelial polarity and proliferation control:links from the Drosophila neoplastic tumor suppressors
GENES & DEVELOPMENT 2004 Aug 15;18(16):1909-25.

このレビューでは、
lethal giant larvae(lgl)、disks large(dlg)、scribble(scrib)の、ひとつのpathwayで働く3つのがん抑制遺伝子について紹介していて、大まかに3つのセクションに分かれています。

1、3つの遺伝子の機能
2、ヒトのがんとハエのがんの類似点
3、polarityとproliferationが共働する機構

前回に引き続き、今回はヒトのがんとどのくらい似てるのか、から書きます。

●ヒトのがんとハエのがんはどのくらい近いのか
ハエの1遺伝子の変異でヒトのがんと似た現象が起こる。
nTSG変異細胞はApoptosisもする。
Apoptosis耐性は過剰な増殖と関係ない。
ハエのがんもヒトのがんも異数化、多核化しない。
ハエのテロメーゼはテロメアの伸張に無関係。
ハエの3つのnTSGのうちひとつの変異で十分である。
ハエはひとつ、ほ乳類は複数の変異ががん化に必要。
それは寿命の長さの違いによるものではないか。
ハエでは、ほ乳類のようなバックアップやチェックポイントがない?
nTSG変異細胞が全てがん化するわけではない。imaginal diskだったら必ずなるけど。
増殖の遅い細胞の場合、周囲の細胞との競争によってApoptosisしたりする。(Myc関係)
nTSGの変異によるがん化は(ヒトのハエのも)独自のpathwayにを持っている。

●cancerで、脊椎動物のnTSGの役割は何か。
Scribはひとつの(hScrib)
Dlgは4つの(hDlg,Chapsyn-110,NE-Dlg,PSD-95)
Lglは2つの(Llgl1,Llgl2)
ホモログがある。
nTSGは進化的に保存されている。
ほ乳類のnTSGホモログはがん化を制御する。
がん化蛋白は、例えばp53の場合のようにがん抑制蛋白と結合し不活化する。
そのひとつの対象はPDZ蛋白である。
ヒトパピローマウィルスHPV(子宮頸がんウィルス)の場合、E6はがん抑制遺伝子であるp53と結合し分解することで発癌に寄与している。E6はそれ以外にもhTERTの再活性化やPDZドメインを持つたんぱく質を分解することで発癌に寄与している。
そして実際、HPV陽性の悪性腫瘍にはhScribの活性がない。

●ほ乳類の表皮での極性と増殖のコントロール
あんまりだから割愛



ハエでのがんの研究はそれなりにヒトのがんの研究に役立つようです。
今回nTSGの例のように進化的に保存された遺伝子であれば、バックアップもチェックポイントもない非常に単純な系で、ヒトのがん研究が出来るので有益であるようです。
実際Scribでは研究が進み、Scribの欠損がApoptosis耐性を与える事で細胞のがん化を促進するそうです。あれ?ハエのと機能違う?


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by koretoki | 2008-12-15 14:27
2008年 12月 13日

浸潤転移するハエのがん

ハエ(Drosophila)のがんのレビューです。
ハエのがんの研究から得られた知見が、どの程度ヒトのがんの解明や治療に役立つのか興味深いところです。

David Bilder
Epithelial polarity and proliferation control:links from the Drosophila neoplastic tumor suppressors
GENES & DEVELOPMENT 2004 Aug 15;18(16):1909-25.

このレビューでは、
lethal giant larvae(lgl)、disks large(dlg)、scribble(scrib)の、ひとつのpathwayで働く3つのがん抑制遺伝子について紹介していて、大まかに3つのセクションに分かれています。

1、3つの遺伝子の機能
2、ヒトのがんとハエのがんの類似点
3、polarityとproliferationが共働する機構

長いので数回に分けて記述するつもりです(汁

1967年、ハエのがんは見つかった。
「細胞が急速に増殖し出血し個体を死に至らしめる変異体」であり、「振る舞いが悪質のがんに似ている」と記述されている。
その後、体細胞ハイブリッドを用いた実験によって、がん抑制遺伝子tumor-suppressor gene(TSG)が見つかった。
ヒトのがんとの類似性も議論さるが、TSGについて比較すると、ホモロジーが低いことや、細胞内の局在が異なる事が指摘されている。


●ハエのがん抑制因子
無脊椎動物のがんは一般に少ないとされるが、ハエのがんはスクリーニングによって見つかってきた。スクリーニングの性質上、がんを引き起こすものより、TSGとして見つかっている。
変異体でみつかったがんの異常増殖は、imaginal discを見ることで分析できる。
ハエのがんには大きく2つ、hyperplastic(過形成)とneoplastic(新生物)とがあり、前者は急速に増殖するものの、形は正常細胞と同じで、単層で増える。対して後者は、丸い形で単層をつくることはできない。

●neoplastic tumer-suppresser gene(nTSG)
現在3つのnTSG(lgl,dlg,scrib)が見つかっている。
これらの変異体幼虫は、3齢まで正常に発生する。
しかし、その後彼らは蛹化せず、2週間ほど死ぬまで育ち続ける。彼らの体長は伸び、体はふくれあがるため、giant larvaと呼ばれる。体内では、imaginal表皮と神経が異常に増殖している。さらには、脳もoptic lobeの過形成によって伸びている。
これら表現型の相似が、nTSGが共通のpathwayで動くことを示唆する。

●nTSGがコードする蛋白
3つのnTSG全てが、転写因子ではなく細胞質蛋白をコードしている。Dlg,Scribはともにscaffold蛋白であり、Lglの昨日は不明だが、前記の2つによって補填されるとされている。

●polarityとnTSG変異細胞について
正常な上皮細胞は、正常な細胞の形、強い接着、単層の形成、頂低極性をもっている。
変異細胞は、丸く、接着性は低く、多層を形成します。重要なのは、極性の喪失が他の形質を引き起こす最初の変化とされていること。
正常ならapical部に局在する蛋白が、変異体では細胞表面に自由に散らばっていることが、nTSGがクリティカルに細胞表面構造を調節していることを示唆している。
インテグリンによるマトリクスへの接着はハエの頂低極性には関係ないとされている。
3つのnTSGに加え5つの遺伝子が上皮の極性を決めるとされていて、8つの遺伝子は基本的に3つの蛋白複合体をコードしている。
Crombs,Par-3などがここでは取り上げられているが、nTSGと他の極性遺伝子の調整段階の分子機構は良く分かっていない。
nTSGの極性に関する機能は上皮だけに限らず、神経でも働いている。

●proliferationについて
細胞の異常増殖は細胞分裂チェックポイントが効かなくなることで引き起こされるが、ハエのimaginal diskではG1/Sレギュレータcyclin Eがそれに当たる。
実は、若い幼虫時のnTSG変異体のdiskは正常個体のそれより小さいことも知られている。孵化5日目では野生型の1/3しかない。しかし、蛹化の時期に10日以上増え続け、野生型の5倍に達する。
蛹化失敗自体は細胞増殖の原因にならず、変異体でもエクジステロイドパルスを消されると異常増殖は起きない。
変異体のdiskを野生型に移植すると異常増殖が起きて宿主を殺すが、野生型のdiskを変異体に移植しても異常増殖は起こらない。
polarityとともに、proliferationは上皮だけでなく、神経組織でも働く。
全ての分化する細胞がnTSG変異による変形を起こすわけではない。

●differentiationについて
nTSG変異体の細胞は最終的に分化能を持たない。

●invasionとmetastasis
nTSG変異細胞は浸潤の性質を見せる。
卵巣上皮のnTSG変異細胞は上皮を離れて胚盤胞に侵入する。
野生型にnTSG変異細胞を移植すると転移する。
脳はもっとも浸潤されやすい組織だが、2次転移は他の部分にも育つ。




ショウジョウバエのがんは、白血病風の血球のものしか知らなかったので、固着組織由来で、転移浸潤もするような、がんらしいがんがハエに存在すること自体が非常に面白いです。
また、imaginal diskが異常増殖し、蛹化までは正常に育つところも、変態の前後で細胞の極性を司る因子が異なることを示唆し、またそれを変態に利用している可能性もあって、興味深いです。


次は、ヒトのがんとどのくらい似てるのか、から書きます。



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by koretoki | 2008-12-13 07:44
2008年 12月 10日

足場がないと自殺もできません

Scribbleは細胞の足場蛋白の遺伝子です。
これを失うことで細胞のアポトーシスが抑制され、がん化を促進することが分かりました。

Zhan L, Rosenberg A, Bergami KC, Yu M, Xuan Z, Jaffe AB, Allred C, Muthuswamy SK.
Deregulation of Scribble Promotes Mammary Tumorigenesis and Reveals a Role for Cell Polarity in Carcinoma
Cell. 2008 Nov 28;135(5):865-78.

著者らは、非がん性の表皮系細胞系であるMCF-10Aを用いて実験をおこないました。
ScribbleをRNAiでノックアウトすることでアポトーシスのマーカーである活性型Caspase-3がなくなりました。
また、がん遺伝子であるE7を導入したMCF-10A細胞でも同じことが確かめられたため、Scribbleががん遺伝子と共同でがん化を引き起こしているのではないか、と著者らは述べています。

さらに、移植すると2次肺(2次胚ではない)をつくる細胞系COMMA-1Dβgeo(CD)細胞系を用いた実験では、ScrbbleのRNAiによるノックアウトによって、気管の空間がほとんどなくなり、がん化することも示されました。

形成異常によるアポトーシスの減少と、過形成によってがん化が起こるのではないかと考察しています。



がん化していないとされる細胞系は、形成異常なしに過形成した細胞群と捉えていいのでしょうか?
そうするとSf-9なんかは、完全に無極性ですし、がん化している?
また、コントロール群のMCF-10A細胞で、写真に写っている総ての細胞が活性型Caspase-3を持っているのが、とても不思議でした。(Fig.1B)

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by koretoki | 2008-12-10 18:37
2008年 12月 08日

溶液中の細胞を観察できる走査電子顕微鏡

http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2008/pr20081208/pr20081208.html
産業総合研究所が、溶液中の細胞を観察できる走査電子顕微鏡を開発したことを発表しました。

従来の電子顕微鏡は、固定し脱水した資料でないと見ることが出来ませんでした。
固定する必要があるので、1サンプルで変化を見ることはできませんでした。
脱水は非常に面倒な処理であり、ほぼ1日かかります。

今回の発明によって、細胞を生きたまま電子顕微鏡で見れるようになりました。
この技術は従来の操作型電子顕微鏡とあまり変わらない機械で実現可能なため、コストも従来型よりそう高くならないことが期待できます。
数年で普及しそうですね。

感動しました!!
e0160319_22241860.jpg

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by koretoki | 2008-12-08 22:35
2008年 12月 04日

生物時計のケース的存在?

生物時計は転写のフィードバックで組まれたループで出来ていると考えられています。
例えば遺伝子AとBがあって、Aが転写され始めて1時間後にAの転写産物がBの転写を促進し、Bが転写され始めて1時間後にBの転写産物がAの転写を促進するようになっていれば、ぐるぐる無限に続いて時計として機能しますよ、という話です。
それに関わる遺伝子の発現パターンの脳内の局在をコオロギで見ましたよ、という論文。

Shao QM, Bembenek J, Trang le TD, Hiragaki S, Takeda M.
Molecular structure, expression patterns, and localization of the circadian transcription modulator CYCLE in the cricket, Dianemobius nigrofasciatus.
J Insect Physiol. 2008 Feb;54(2):403-13.


ショウジョウバエの転写因子、CYCLEとCLOCKはperiodとtimelessの上流にあるとされ、periodとtimelessの転写産物であるPERとTIMは、CYCLEとCLOCKと相互作用しながら自信の転写を抑制します。
ショウジョウバエでは、PRE、TIM、CLOCKは周期的に発現し、CYCLEは一日中ずっと存在すると言われています。

著者らは、CYCLEとCLOCKの転写産物に対する抗体を調製し、4時間おきに1日6回コオロギの脳を切って免疫染色し、脳内のCYCLE及びCLOCKの局在を調べました。

結果、CYCLEは脳内の様々な箇所で、時間による差が無く存在している事が分かりました。
写真を見ると、細胞の膜の方、外側の方が染まっているように見えます。
CYCLEもCYCLEと同じように、脳内の様々な箇所で、時間による差がなく存在しています。
こっちは、核が染まっている写真がありました。



CYCLEとCLOCKがどうやって見つかったのか知りませんが、もしショウジョウバエでのKO実験から、生物時計に関連すると考えられたなら、時計のムーブメントではなく、ケースの部分のような働きの遺伝子であってもいいのかなと思いました。



おねがいします↓
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by koretoki | 2008-12-04 04:29
2008年 12月 03日

昆虫初代培養用MX培地

PubMedで「MX medium primary culture insect」を検索しても出ないと思ったら特許で見つけました。
最近PubMedの表示変わりました?

今西 重雄、羽賀 篤信、三橋 淳
昆虫細胞初代培養用培地、細胞外マトリックスおよびこれらを用いた短期間での昆虫培養細胞株作出法
特開2006-136339(P2006-136339A)

著者らは、細胞系樹立を目的とした昆虫細胞初代培養に適した培地を作りました。
また、昆虫由来の水溶性キチンで培養基材をコートし、細胞接着を促進しました。

 組成表を見て、MGM450培地とMM培地を混ぜたらいけるんじゃないかと思いました。MX培地で作出された鞘翅目の培養細胞株はありましたっけ?日本で作出された鞘翅目の培養細胞株はオオスジコガネFRI-AnCo-5B、ブドウトラカミキリXP-1、ドウガネブイブイTUAT-AnCu-35、クリストフコトラカミキリPC-1の4つで、どれもMGM450培地を用いていたと思います。キチンコートは昔、北海道の方がカニの殻から作ってましたが、そのときのディッシュは白いキチンが縦横無尽に走っており、観察には邪魔そうでした。観察しやすいキチンコートディッシュは使ってみたいです。


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by koretoki | 2008-12-03 01:47