したっぱ昆虫細胞研究者のメモ

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2008年 11月 14日

私寝てるから起きたらおこして

Ishita M.Shah,Maria-Halima Laaberki,David L. Popham and Jonathan Dworkin
A Eukaryotic-like Ser/Thr Kinase Signals Bacteria to Exit Dormancy in Response to Peptidoglycan Fragments
Cell, Volume 135, Issue 3, 486-496, 31 October 2008

バクテリアはsporeを作って休眠することで環境の変化に適応します。
著者らは、sporeを作って休眠しているバクテリアが、他のバクテリアの増殖に伴って放出される細胞壁のムロペプチドを感じて起きることを発見しました。

著者らは、spore状態のE.coliやB.subtilisの培養にPeptidoglycanなどを加えることで、濃度依存的に出芽率が上がる事を示しました。
また、そのレセプターがPrkCという内向きにSer/Thr kinaseを持つ膜貫通蛋白で、それなしに今回の反応が見られないことも示しています。

この発見は、活動期のバクテリアを対象にした現行の抗生物質とは全く異なる作用機構の抗生物質の開発に役立つと考えられています。



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by koretoki | 2008-11-14 03:19
2008年 11月 13日

トランスポゾンを操って細胞系をつくれたら

教科書、「細胞の分子生物学第4版」で見つけたのですが
Bodnar AG,OuelletteM,Frolkis M,Holt SE,Chiu CP,Morin GB,Harley CB,Shay JW,Lichtsteiner S,Wright WE.
Extension of life-span by introduction of telomerase into normal human cells.
Science.1998 Jan 16;279(5349):349-52.
多細胞生物の身体を構成する正常な細胞には分裂回数に上限があります。その要因としてテロメア仮説が提唱されています。
著者らはヒトの正常細胞にテロメアーゼを遺伝子導入すると、導入細胞は無限に増殖しました。

同じ事が昆虫でもできるのではないかと期待しましたが、昆虫では事情が違うようです。
Sakai T,Fujiwara H.
Detection and distribution patterns of telomerase activity in insects.
Eur J Biochem.2000 May;267(10):3025-31.
著者らはテロメアーゼの発現を、昆虫の様々な組織、セルラインで調べました。
すると、ゴキブリとコオロギでは全身で発現していました。
カイコ、2種のショウジョウバエ、センチニクバエの全身とセルラインでは全く発現がありませんでした。

テロメアーゼを遺伝子導入しても、セルライン化は望めない様。
昆虫はテロメアーゼを使わずに、テロメアを維持しているようです。
James M.Mason,Radmila Capkova Frydrychova,and Harald Biessmann
Drosophila telomeres:an exception providing new inshts
BioEssays 30:25-37,2008
テロメアを伸ばす方法は全部で3つあります。
ひとつは、テロメアーゼのような特別な転写酵素を持つ方法。
もうひとつは、反復配列の非相互な遺伝子組み換えで片方をのばす方法。
最後に、テロメア特異レトロトランスポゾンの狙ったtranspositionがあって、ショウジョウバエはこれを採用しています。


これは私の想像ですが、昆虫のテロメア構造がレトロトランスポゾンを扱うことで維持されているならば、トランスポゾンの扱い方が分かれば、ヒトの細胞にテロメアーゼを導入するように、無限増殖性細胞集団を作れるかもしれません。

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by koretoki | 2008-11-13 23:00
2008年 11月 12日

成虫の中腸は幼虫の中腸幹細胞からできてる

著者は最近JHrecepterを見つけたパリー様

Parthasarathy R, Palli SR.
Proliferation and differentiation of intestinal stem cells during metamorphosis of the red flour beetle, Tribolium castaneum.
Dev Dyn. 2008 Apr;237(4):893-908.

PDFで取れるので美しい写真も是非ごらんください。
http://www3.interscience.wiley.com/cgi-bin/fulltext/117922529/PDFSTART

完全変態昆虫の成虫盤は、蠅の翅とか蛾の脚などではよく知られています。しかし、中腸の成虫盤についてはあまり知られていませんでした。
中腸には多核の細胞(筒型細胞、杯状細胞、分泌細胞の3種がいる)と2nの幹細胞がいて、中腸上皮が傷害をうけた時に幹細胞が分裂します。 変態に際して、中腸上皮の外の中腸成虫盤の細胞が増えて移動して来ると考えられてきました。
著者らは蚊と蛾で研究してきましたが、ゲノム情報がないことと初代培養が出来ないことが、幹細胞の研究の障害になっていました。
そこで
最近ゲノム解読がが完了したコクヌストモドキTribolium castaneumを材料に、中腸の初代培養とRNAiをやりました。

Knock-down effect of EcRA and USP on the proliferation of ISCs in the cultured midguts.Injections of dsRNA were done at 24hr AEFL.Twenty-four hours prior to harvesting,10µM 20E or JHⅢ or both are added.The tissues are pulsed with BrdU during the final 12 hr of culture.

結果、以下のことが分かりました。
●幼虫の中腸幹細胞が増えて、成虫の中腸を作っていた。
●20Eは中腸幹細胞の増殖を促進する。
●20Eは中腸多角細胞のアポトーシスを促進する。
●変態する中腸で、JHⅢは20Eに拮抗的に働くが、単独では何もしてない。
●EcRAとUSPが中腸リモデリングの際にシグナル伝達をしている。


データがもの凄く綺麗な印象を受けました。
中腸の初代培養を当然のように行っていることがとても恐ろしいです。
培養法としてLoeb式が有名ですが、国内でそれを出来る研究室を私は2つしか知りません。
リファにLoebさんの名前は見当たりませんし、さぞかし素晴らしい方法を開発されたのだと思いますが、マテメソには"The midguts dissected under aseptic conditions were cultured in Ex-Cell 420"としか書いてないのです。


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by koretoki | 2008-11-12 00:54