2009年 03月 04日
Manaboon M, Iga M, Iwami M, Sakurai S. Intracellular mobilization of Ca(2+) by the insect steroid hormone 20-hydroxyecdysone during programmed cell death in silkworm anterior silk glands. J Insect Physiol. 2009 Feb;55(2):122-8. 昆虫の変態時におこるPCD(Programed Cell Death)は、遺伝子発現カスケードでない経路で引き起こされることが知られています。著者らは今回、初代培養細胞にPCDを引き起こす条件を設定した上で、各反応に対する阻害剤を添加することで薬理学的に、PCDの経路を調べました。 培養されたのは、カイコのsilk glandです。120時間の比較的長期な培養で実験を行っています。培養に20Eを添加すると細胞質Ca2+濃度が上昇し、PCDして細胞形態の変化やDNAの断片化が見られることがこれまでの研究で知られています。ここでは、5種類のPCD阻害剤候補物質を添加することで実験が行われました。 まず、2つのCa2+チャンネルの阻害剤が添加され、結果PCDが阻害されたことから、Ca2+チャンネルが細胞外のCa2+を輸送することで濃度上昇が引き起こされることが示唆されました。しかし、Ca2+Freeの培地を用いた培養においても20E添加区においてPCDが誘導されることから、細胞外のCa2+の関連が否定されました。つまり、[PCDにおける細胞質のCa2+濃度上昇は、細胞内の何かが放出することに依る]と考えられます。 そこで、次にその「何か」を調べる実験が計画されました。候補としてERが挙がり、それがIP3Rの活性化によって放出されることが知られていたため、IP3Rのアンタゴニストが添加されました。ここではDNAの断片化は阻害されました。しかし、凝集はとめられませんでした。IP3RはIP3に関連して活性化され、IP3は一般的にPLCによって活性化されるため、PLC阻害剤が添加されました。細胞の縮小は抑えられ、DNA断片化も阻害されました。PLC/IP3経路は活性型GPCRによって刺激されるため、GPCR阻害剤が添加されました。1mMの添加でDNAの断片化は阻害されませんでしたが、核の断片化は阻害されました。2mMの添加では共に阻害されました。2つの断片化が独立に、しかしGPCR依存的におきる事が分かります。 Ca2+を細胞内のリザーバーが持ってるところが面白かったです。 他の生物では分かっているのでしょうか? 人気ブログランキングに参加しています。 応援よろしくお願いします。
by koretoki
| 2009-03-04 02:37
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