したっぱ昆虫細胞研究者のメモ

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2008年 11月 13日

トランスポゾンを操って細胞系をつくれたら

教科書、「細胞の分子生物学第4版」で見つけたのですが
Bodnar AG,OuelletteM,Frolkis M,Holt SE,Chiu CP,Morin GB,Harley CB,Shay JW,Lichtsteiner S,Wright WE.
Extension of life-span by introduction of telomerase into normal human cells.
Science.1998 Jan 16;279(5349):349-52.
多細胞生物の身体を構成する正常な細胞には分裂回数に上限があります。その要因としてテロメア仮説が提唱されています。
著者らはヒトの正常細胞にテロメアーゼを遺伝子導入すると、導入細胞は無限に増殖しました。

同じ事が昆虫でもできるのではないかと期待しましたが、昆虫では事情が違うようです。
Sakai T,Fujiwara H.
Detection and distribution patterns of telomerase activity in insects.
Eur J Biochem.2000 May;267(10):3025-31.
著者らはテロメアーゼの発現を、昆虫の様々な組織、セルラインで調べました。
すると、ゴキブリとコオロギでは全身で発現していました。
カイコ、2種のショウジョウバエ、センチニクバエの全身とセルラインでは全く発現がありませんでした。

テロメアーゼを遺伝子導入しても、セルライン化は望めない様。
昆虫はテロメアーゼを使わずに、テロメアを維持しているようです。
James M.Mason,Radmila Capkova Frydrychova,and Harald Biessmann
Drosophila telomeres:an exception providing new inshts
BioEssays 30:25-37,2008
テロメアを伸ばす方法は全部で3つあります。
ひとつは、テロメアーゼのような特別な転写酵素を持つ方法。
もうひとつは、反復配列の非相互な遺伝子組み換えで片方をのばす方法。
最後に、テロメア特異レトロトランスポゾンの狙ったtranspositionがあって、ショウジョウバエはこれを採用しています。


これは私の想像ですが、昆虫のテロメア構造がレトロトランスポゾンを扱うことで維持されているならば、トランスポゾンの扱い方が分かれば、ヒトの細胞にテロメアーゼを導入するように、無限増殖性細胞集団を作れるかもしれません。

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by koretoki | 2008-11-13 23:00


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