2011年 05月 05日

カイコゲノムのメチル化具合

昆虫ゲノムのメチル化具合について出てきました。
全体の>0.2%しかメチル化されてない上に、トランスポゾン、プロモーターはスルーで転写領域ばかりがメチル化されてるそうです。

Hui Xiang, Jingde Zhu, Quan Chen, Fangyin Dai, Xin Li, Muwang Li, Hongyu Zhang, Guojie Zhang, Dong Li, Yang Dong, Li Zhao, Ying Lin, Daojun Cheng, Jian Yu, Jinfeng Sun, Xiaoyu Zhou, Kelong Ma, Yinghua He, Yangxing Zhao, Shicheng Guo, Mingzhi Ye, Guangwu Guo, Yingrui Li, Ruiqiang Li, Xiuqing Zhang, Lijia Ma, Karsten Kristiansen, Qiuhong Guo, Jianhao Jiang, Stephan Beck, Qingyou Xia, Wen Wang & Jun Wang
Single base–resolution methylome of the silkworm reveals a sparse epigenomic map
Nature Biotechnology 28, 516–520 (2010)

虫のエピジェネティックな制御は多様な生物学的過程を持っている。今回著者らは、カイコのメチローム(methylome)について、1塩基単位の分析が可能なillumine high-throghput bisulfite sequencing(MethylC-Seq)を使って調べました。当初、0.11%のシトシンがメチルシトシンになっているだろうし、おそらくそれはCGで起きてると思いました。CGメチレーションは転写領域に集中しており、発現レベルと相関がありそうです。このことは、遺伝子発現に対してポジティブな作用を持っている事を示唆します。トランスポゾンとか、プロモーター、リボソーマルDNAは少ししかメチル化されていませんでしたが、対照的に、転写領域にあるsmall RNAは高密度にメチル化されてました。

"遺伝子のプロモータ領域にメチル化修飾を受けたシトシン塩基が遺伝子発現調節に関与していることが示唆されています。これらの調節機構を領域としてメチル化シトシンのパターンを検出するには、シーケンス反応をベースにした検出系が有効です。
ゲノムDNAにバイサルファイト処理を行なうとメチル化シトシンは変換されず、非メチル化シトシンのみがウラシルに変換されます。シーケンス反応としてウラシルはチミンとして表現されますので、バイサルファイト処理前後で生じるシトシンとチミン(ウラシル)の差異を配列データとして得ることができます。"Applied Biosystems社HPより引用

5令の大造の絹糸腺を液体窒素でサンプリング。bisulfite処理をしたtotalDNAをシーケンスしました。272,312,422readsがとれ、クオリティ低いの除いて133,765,113readsを使う事にしました。これは5.9Gbpで、カイコゲノムのシトシンのうち92%をカバーし、平均深度はx7.4です。0.67%のCG, 0.21%のCHG, 0.24%のCHHが最初にみつかりました。(H=A,C or T)non-CGメチル化はミツバチにおいては、非常に稀か存在しないと考えられるので、擬陽性を疑います。メチル化していると推定される部位のうち、どれだけがメチル化されているのかを旧来のシーケンスと454のシーケンスで確かめることにしました。ゲノム中から、26のmCGsを含む5部位、98のmCHHsとひとつのmCHGを含む3部位を選び、旧来のバイサルファイトPCRとシーケンスを行いました。すると、CG部位については92.3%のシトシンのメチル化が確認され、non-CG部位のメチル化は確認されませんでした。さらに、692 CGs, 29 CHGs and 63 CHHsを含む部位をバイサルファイトPCRしたのち、454でシーケンスしました。CG部位に付いては82.9%のメチレーションが確認され,non-CG部位のメチレーションは見つかりませんでした。ということは、カイコでもミツバチでもnon-CGのmGsは稀か存在しないでしょう。

擬陽性を除くために、dipthを上げる事にしました(※怪しいときにdipthを上げるのはGA使う研究のいつもの手)。絹糸腺を他の個体から取り出し、MethylC-Seqしました。今度は9.9Gb, dipth x9.0で取れました。さっきのと同じ事をしたら、983,395のmCsが見つかり、6割くらいがnon-CG部位でした。さっきのと比べてみたら、CG部位は大体一緒だったけどnon-CGは一緒じゃありませんでした。カイコの場合は非non-CG部位のmGsはほとんどすべてが擬陽性であるようです。

2つのMethylC-Seqに基づくmethylome解析の結果はよく一致しており、BS-PCRで確かめた191部位のうち、190部位については2回目の結果でも発見されました。
2つの結果を合わせる事で、最終的に173,505個のmGsについてのDNA methylation Mapを作りました。そのうちCG部位は99.2%でnon-CG部位は0.8%でした。BS-PCRの結果を鑑みるにMethylC-seqの結果の85.2%のmGCsが実際にメチル化されているので、ゲノム上の0.11%のシトシンがメチル化されているだろうと推察しました。これは、液クロを使った結果とも一致します。

メチル化の機能を調べるため、遺伝子、smallRNA、Transposable elements,ribosomal DNAのメチレーションプロファイルを見る事にしました。すると、遺伝子、cds,イントロン,small RNAがよくメチル化されており、TEsはわずかに、rRNAはまったくメチル化されていませんでした。

遺伝子の発現調節に関わっていそうなので、絹糸腺をつかって発現量を見てみました。illuminaのを使って2回はかりました。特にdnmt1とdnmt2(DNA methyltransferase)についてはRT-PCRも使って調べました。遺伝子を発現量を指標に5群にわけ、それぞれのメチル化具合と比較しました。メチル化の少ない遺伝子程よく発現していたので、転写領域についてはメチレーションの機能は植物やセキサク動物と同じなようです。でも、プロモーター部位に関しては相関がありませんでした。さらに、geneontologyを見ました。メチル化された遺伝子は結合活性に富み、転写制御因子を含みました。バイオロジカルプロセス、細胞の代謝や生合成プロセスに関わるところもメチル化されてました。一方、転写因子はメチル化されてませんでした。また、制御や接着にかかわるものもメチル化されてませんでした。



この研究ではmappingをSOAPalignerでやってました。44-nt pair-end 2mismatches , 75-nt pair-end 4mismatchesという具合です。BS-SEQだったら、こういうの使うんじゃないかと思ったんですが、>0.2という低いメチル化レベルのカイコだったら普通のmapperでも良いのかと思ってエキロロアンしましたー



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by koretoki | 2011-05-05 17:21


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