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したっぱ昆虫細胞研究者のメモ

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2010年 11月 23日

昆虫ホルモンがカイコの後胚子発生において脂肪体の自然免疫を劇的に制御している

昆虫ホルモンによるゲノムワイドな自然免疫の制御@カイコ脂肪体

Ling Tian1†, Enen Guo2†, Yupu Diao1, Shun Zhou1, Qin Peng1, Yang Cao2, Erjun Ling1, Sheng Li1
Genome-wide regulation of innate immunity by juvenile hormone and 20-hydroxyecdysone in the Bombyx fat body
BMC Genomics 2010, 11:549

昆虫の自然免疫はJHと20Eに影響されうる。しかし、いかに自然免疫が2つのホルモンによって発生上制御されているかは解明されていない。カイコにおいては、最終脱皮(4M)の間にJHと20Eは高いレベルになり、5齢摂食時(5F)にはなくなる。一方蛹期では、JHは低く20Eは高いレベルになる。脂肪体はホルモン応答分子を生産し、ゆえに脂肪体は自然免疫に関与する主な器官とみなされてきた。

4M、5F、PPのカイコ脂肪体のゲノムワイドマイクロアレイ分析は多数の発現量の違う遺伝子を明らかにした。特に、4MではPPと比して、6つの抗菌ペプチド(AMP)が上方制御されている。このことは、カイコの自然免疫が発生上2つのホルモンによって制御されていることを示唆している。第一に、JH処理は劇的にAMP mRNAレベルと活性を増加させる。さらに、20E処理はAMP mRNAレベルと活性への阻害効果を示し、また、20Eレセプター EcR-USPをRNAiしたところ20E処理と逆の効果を示した。

カイコの後胚子発生における脂肪体では、JHは免疫活性剤として働き、20Eは自然免疫を阻害していた。

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by koretoki | 2010-11-23 02:09


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