2009年 08月 27日

免疫細胞に選択的に感染するrecバキュロウィルスベクター

Martyn JC, Cardin AJ, Wines BD, Cendron A, Li S, Mackenzie J, Powell M, Gowans EJ.
Surface display of IgG Fc on baculovirus vectors enhances binding to antigen-presenting cells and cell lines expressing Fc receptors.
Arch Virol. 2009;154(7):1129-38. Epub 2009 Jun 26.

 バキュロウィルスは哺乳動物細胞に対して細胞傷害を示さない為、ベクターとして広く利用されています。組み換えバキュロウィルス(以下recBV)を用いて肝炎ウィルスの蛋白をマウスの細胞に導入すると、抗体の産生と、細胞仲介性の免疫反応を示すことがわかっています。
 そして、バキュロウィルスの表面に任意の蛋白を提示させることで、提示された蛋白と結合するモノを表面に持った細胞に選択的に感染させる方法も研究されてきました。今回著者等は、Bリンパ球やマクロファージの細胞膜上にあって、抗原提示や貪食の過程を仲介するIgG Fc受容体を狙うため、表面にIgG Fcを提示するrecBVを作りました。


 著者らは2つのカセットを持った組み換えバキュロウィルス(recBV)を設計開発しました。昆虫細胞に感染させるとIgG Fcを発現し、哺乳類細胞に感染させるとhepatitis C virusの構造蛋白を発現します。IgG Fcは昆虫細胞内において、シグナル配列と、膜貫通部位(バキュロウィルスのエンベロープ蛋白であるgp64、もしくはヒトトランスフェリン受容体)との融合蛋白として発現し、typeⅠもしくはtypeⅡ複合膜蛋白となります。いずれの場合も、IgG Fcは細胞膜上に配置される蛋白の組み換え型として発現し、細胞膜の表面にくるようになります。どちらのrecBVも、水に溶いたFcγRⅡα受容体とセルラインとFc受容体を発現する抗原提示細胞に特異的に結合しました。Fc受容体を発現する免疫細胞を標的とするこれらの新しいバキュロベクターは、ワクチン産生と遺伝子治療への利用の可能性を持っています。



ウィルスの表面に何かを提示させて、それに相対する何かを持った細胞を狙うっていうコンセプトがとてもcool!免疫細胞を狙ったのも面白いです。こういう話大好きです。


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by koretoki | 2009-08-27 23:50


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