2009年 07月 29日

マリアナ海溝より深い海の水圧でも平気:コンゴウウナギのセルライン

高水圧の環境に住む生き物の細胞は圧力に強いのでしょうか?
深海魚であるコンゴウアナゴの細胞を用いて検証した研究があったので紹介します。

Koyama S, Kobayashi H, Inoue A, Miwa T, Aizawa M.
Effects of the piezo-tolerance of cultured deep-sea eel cells on survival rates, cell proliferation, and cytoskeletal structures.
Extremophiles. 2005 Dec;9(6):449-60.

著者等はコンゴウアナゴ、アナゴ(conger eel)、マウスセルライン3T3-L1の3種の細胞を用い、圧力に対する細胞の反応を生存と増殖について見ました。

 生存率を調べる実験では、急激な加圧の後20分間維持し、その後急激に減圧させています。マウスの細胞が60MPaで、アナゴの細胞が130MPaで死滅するのに対し、コンゴウアナゴの細胞は150MPaでも生存でき、完全に死滅したのは200MPaでした。加圧に伴う細胞骨格分子の応答を抗体を用いて観察した実験では、マウスやアナゴの細胞のアクチンがすみやかに脱重合してしぼんだ形態を示すのにたいして、コンゴウアナゴでは100MPaでほとんど変化せず、130MPaにおいて若干くずれました。

 増殖を調べる実験は、0MPaから30MPaまでの加圧条件で培養することで行っています。アナゴの細胞では、加圧するほどに細胞増殖能が失われ、10MPaで完全になくなりました。マウスの細胞では、5MPaまでは上昇し、その後減少して18MPaほどで増殖能を失っています。コンゴウアナゴの細胞では20MPaまでは一定で、その後減少し30MPaで増殖能を失いました。20MPa条件下での分裂にはM期に少なく見積もっても480min.かかるようです。




高圧環境にすむ生物の細胞は裸でも高圧に耐えられるっていうのがすごく面白かったです。環境に合わせて、体細胞の基本的な性質も大きく変化しているのですね。

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by koretoki | 2009-07-29 18:58


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