2009年 04月 14日

autophagyって何?:IPLB-LbFBセルラインを用いて

Malagoli D, Boraldi F, Annovi G, Quaglino D, Ottaviani E.
New insights into autophagic cell death in the gypsy moth Lymantria dispar: a proteomic approach.
Cell Tissue Res. 2009 Jan 30.

 autophagyは自食作用とも訳され、酵母も持ってる古い機構です。特異的に誘導される細胞死として、その起源についての議論は続いています。

細胞死には以下の
●apoptosis/programmed cell death
●autophagy cell death
●necrosis
3態があるとされ、apoptosisとautophagyの境は曖昧であることも言われています。autophagyの分子機構はここ10年で明らかになってきました。autophagyが、housekeepingのoverrunなのか、それともATP欠乏に連結した特異的な経路なのか、という問に対する答えはまだありません。

 鱗翅目幼虫脂肪体由来のセルラインであるIPLB-LdFBはautophagyとapoptosisの両方を様々な刺激によって誘導できるのでよい実験材料です。IPLB-LbFBはapoptosisのための機能を完全にもっていて、ATPase阻害剤であるOligomycin Aに誘導されてautophagyすることが知られています。

 著者等は、ATPase阻害剤であるオリゴマイシンAの添加によって細胞死の誘導された細胞の培養上清が、autophagyを誘導することを発見し、これを元に研究を行っています。脂肪体抽出物を用いた先行研究から、20Eなしでautophagyがおこること、すなわちなんらかの物質の存在が示唆されています。そこで、Oligomycin Aを添加した培養の培養上清についてプロテオミックに調べました。

●EMを用いた微細構造解析の結果、
Oligomycin Aを添加した培養の培養上清を添加することでautophagyしたIPLB-LbFBは、vacuolesをつくったり、ミトコンドリアを減らせたりすることが分かりました。

●脂質代謝に関わる酵素活性を調べた結果
酸ホスファターゼ活性が核の周りで淡く発現していたのが、はっきりと発現するベシクルが細胞質中に見られるように変化することがわかりました。

●ATPの量を調べた結果、
培養上清添加でATP減ること、oligomycinAの直接の添加でもっと減ることが明らかになりました。

●培養上清の蛋白を2次元展開して銀染、でてきた蛋白の11についてMS/MSで分析・同定した結果、
autophagyする培養では、アクチン脱重合factor4isoformがup-regulateされていました。対して、他のアイソフォームはdown-regulateされていました。
また、autophagyする培養のIDGF-like proteinは大きく減少することがわかりました。
コントロールと実験区培養上清にアクチンなどの細胞骨格蛋白が同じくらい含まれることも分かりました。
IPLB-LbFB細胞は、autophagic cell demiseに向かって代謝を変化させているようです。




 自食とapoptosisの違いがよく分からないのですが、どうも研究が始まったばかりということの様です。電顕と蛋白機器分析があると、なんとなく説得力がるような気がします。IDGF-like proteinが減少したところが面白いと思いました。栄養がなくて小さくなろうとしている細胞がgrowth factorを出さなくなるのは当然といえば当然なのですが。IPLB-LbFBはapoptosisの研究材料というイメージが強かったのですが、そこからさらに細胞死全体の研究材料に発展していったら嬉しいです。


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by koretoki | 2009-04-14 19:57


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