したっぱ昆虫細胞研究者のメモ

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2009年 04月 08日

カスパーゼがApoptosis以外の方法でウィルスを邪魔する

Bryant B, Clem RJ.
Caspase inhibitor P35 is required for the production of robust baculovirus virions in Trichoplusia ni TN-368 cells.
J Gen Virol. 2009 Mar;90(Pt 3):654-61.

 バキュロウィルスはカスパーゼインヒビターP35で、宿主細胞のアポトーシスを止めることが知られています。核多角体ウィルスAcMNPVもそのひとつで、p35を欠いた変異体が存在します。変異型のウィルスはヨトウガ(S.f.)の細胞のアポトーシスを誘導してしまうのですが、T.niの細胞の場合ではカスパーゼが発現しているにも関わらずアポトーシスしないそうです。
 変異型のウィルス感染中は液化しないことや、変異型のウィルスはウィルス産生能が低いことなどの差異があるため、著者らはウィルス感染においてカスパーゼにはアポトーシス以外の働きあると考え、それがどのような働きであるか調べました。

 ウィルス産生に影響するのか、それともウィルス感染に関連するのか調べる為、カスパーゼインヒビターであるzVAD-fmkを感染細胞に加える実験と、zVAD-fmk存在下でウィルス感染させる実験を行いました。2つの結果から、カスパーゼは変異型ウィルスのバディングウィルスの感染を減少させることが分かりました。



 宿主体内細胞間での2次感染に関連する訳ですね。こういったウィルスの感染と産生に関する知識が集まってくれば、ベクター利用の際の条件検討もぐっと楽になるのかもしれません。あと、論文中でカスパーゼの活性のコントロールとして、Sf9に5分UVを被爆させたものが使われていました。それらのほうが、変異型ウィルスを感染させたT.niのセルラインTN-368よりもはるかにカスパーゼ活性が高いようにグラフでは見えます。ウィルスのアポトーシス誘導能って元々それ程高くないのですか?元々、というのもおかしいですが・・・メーカーサイトによるとクリーンベンチ等の殺菌灯は1分の照射でほぼ全ての、2分の照射で全ての菌を死滅させられるそうです。培地がUVを吸収するといっても、5分も当ててしまったらアポトーシスの誘導どころか原形質が破壊され、酵素群が漏れ出してしまったりするのではないかと心配になりました。

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by koretoki | 2009-04-08 03:20


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